Storyniko and ... mozoワンダーシティ店
クライアント:株式会社アダストリア 様
- 飲食店・食物飯店
- 物販店
- デザイン・設計
- 制作・施工
- 世界観の構築
- 中部
いつ来ても「発見」に出会える、
異色の大型店への挑戦。
2019年にオープンした、niko and ... mozoワンダーシティ店。これまでにない600坪という大型店には、衣料品はもちろんのこと、ステーショナリーや家具、観葉植物やレコードなど幅広いアイテムが並ぶ。さらに店内には、カフェスペースや、セレクトアイテムを扱うブースなど、リアル店舗での「発見」をユニークに彩る工夫であふれている。数々のアパレルブランドを展開している株式会社アダストリア様と実現した、ブランドの進化を遂げる1歩目のプロジェクトとは。
新しい挑戦に踏み出す
1歩目となった、勉強会

小西 克典 / プロジェクトマネジメント
プロジェクトのスタート前、スペースの小西による勉強会の提案があった。世の中の動きを予測し、互いの知識を共有し合ったことが、今回の挑戦に踏み出すための土台となった。
小西:「アダストリア様は、常に新しいことに挑戦されていて、新規事業のご相談をいただくこともありました。その中で、より本質的なご提案をさせていただきたいと考えたのがきっかけでした。私たちが持っている情報や知識を共有することでお役に立てるんじゃないかなと」

小西 克典 / プロジェクトマネジメント

矢崎 美奈子 様 / 株式会社アダストリア

羽田 稔雄 / 企画提案
当時を共に振り返るのは、株式会社アダストリアの店舗デザイン部長・矢崎氏。
矢崎:「私たちもここ数年は特に、世の中の動きを気にかけていました。人口動態が変化したことで、人々のライフスタイルにも大きく変化があり、私たちもこのままではいけないと考えています。既存の流れに変化を生むという点で、勉強会はいいきっかけになったと思っています」

矢崎 美奈子 様 / 株式会社アダストリア
小西:「1回目の勉強会は、新規事業の1つのきっかけになるような世の中の動きをリサーチしてご共有させていただく形でしたね」
矢崎:「業界の垣根を超えて他社の事例なども分析していただいて、とても参考になりました。そのあと、社内で大型店の構想も議題に上がっていたので、さっそく次回の勉強会のテーマにできないかとご相談しました」
勉強会の資料作成に臨み、その苦労を語るのは、スペースの商環境研究所・場づくり事業部の羽田だ。
羽田:「勉強会のために、大型化している他社の事例など徹底的に分析しました。事業として実現可能かを考えながら、クリエイティブなお店づくりをどう実現するのか、頭を悩ませる日々でした」

羽田 稔雄 / 企画提案
小西:「既存のアパレル大型店は、どれだけ大きくても250坪。しかし、それを遥かに超えた規格外のオーダーだったので、これは全社をあげて挑戦しなくてはいけないなと、私たちも覚悟を決めました」
異例の“ワンブランドで600坪”

吉田 光希 / 営業、施工
前例のない大型店は、1つのブランドに絞り、niko and ... での出店が決定した。2016年からniko and ... の担当として携わってきたスペースの吉田が今回のプロジェクトを担当することになった。
吉田:「niko and ... は非常に世界観がしっかりしているブランドですよね。ブランドごとのリサーチもかなりされていらっしゃるとお聞きしています」

吉田 光希 / 営業、施工
矢崎:「お客様のリサーチは大切にしていますね。勉強会の資料で『消費行動が変わってきている』という事例も挙げていただきましたが、niko and ... のお客様へのリサーチでも意外な結果が出ていました。『niko and ... の他にどんなお店でお買い物をされますか?』という質問に対し、これまでにない『ホームセンター』などの回答が増えていたんです。業種ではなくライフスタイルで消費行動を見つめ直す必要があると感じました」
吉田:「空間として考えたときにも当てはまるお話ですね。ただ複数のアパレルブランドを入れるだけでは、空間全体のコンセプトが曖昧になってしまいます。私たちが初めに1つのブランドに絞ることをご提案させていただいたのも、消費行動の変化が背景にありました」
矢崎:「コンセプトを大切にしてライフスタイルを提案するという考え方から、世界観の確立しているniko and ... は最適なブランドだと考えました。結果的にブランドを絞ったのは正解だったと思います」
600坪を余すことなく
楽しめるレイアウト

柏瀬 上 / デザイン
多様なアイテムが並ぶ店内で、特にこだわったのは人を中心に集め、全体を一周してもらうためのレイアウトだったという。設計・デザインを担当したのは、スペースの柏瀬だ。
柏瀬:「デザインや素材については既にブランドのこだわりがあったので、そこを新たに提案するというよりは、空間全体を通してお客様にどう感じていただきたいかのお話がメインになりましたね。考えをすり合わせて、形に落としての繰り返しだったと思います」

柏瀬 上 / デザイン

新井 智恵 様 / 株式会社アダストリア
新井:「私たちのこだわりも強かったので、何度も振り出しに戻る中、匙を投げずに向き合ってくださったおかげで本当に納得できるものができました」

新井 智恵 様 / 株式会社アダストリア
柏瀬:「人の導線は、かなり考えてレイアウトしました。ただ四角の箱で区切っていくのではなく、ポイントとなるようなゾーンを三角に区切ることで、人が自然に中心に向かって歩いていくように計算してあります。また広い空間を活かして、壁側は天井をあえて低くして中心にひらけた場所をつくったり、空間全体でも発見を楽しんでもらえるような仕掛けを施しています」
リアル店舗にしかない
「発見」がある
地方の商業施設という特性から、来店の目的が明確でなく、ふらっと立ち寄られるお客様も多い。オンラインショップが当たり前になった時代に、店舗に来てもらうための工夫。それは、ただ商品を売るだけでなく、リアル店舗でしかできない「発見」を楽しんでもらうことだった。
矢崎:「お客様がniko and ... に来る楽しみは、発見する楽しさ。目的とは違うものをつい手に取ってしまったり、来店するたびに驚きがあったり、そういった体験を大切にしています」
吉田:「お客様だけでなく、店舗のスタッフの皆さんも、自由にお店づくりを楽しんでいる印象があります。自分たちでDIYをして売り場を作ったり、常に変わっていくことが前提にありますよね」
新井:「確かにそうですね。お客様にもDIY好きな方が結構いらっしゃるので、あえて頑張ればDIYでつくれそうな、リアリティのある質感もこだわっています。これも来店していただかないとわからない『発見』の1つですね」
店舗が完成した後も「発見」を深めるための探究が続く。
新井:「ライフスタイルという軸で展開していくにあたり『このブランドはこうでなければいけない』という思い込みは取り払って、オープンに視野を広げていきました。そういえば、スペースさんとは、niko and ... のテーマになっているブルックリンの地への視察にも同行していただきましたね」
吉田:「行かせていただきましたね!ブランドの世界観を共有する上で、とても貴重な体験だったと思います。これからの店舗づくりにも活かせるところがたくさんありました」
新井:「現地の人のライフスタイルを身近に感じながら、空間のプロフェッショナルであるスペースさんと、これからどんなことができるのか。そういったことを一緒に話しながら街を歩いた経験は、本当に刺激的で私自身もたくさんの発見がありました」
進化する店舗をきっかけに
これからも答えを探し続ける
これまでにない「発見」と出会える、大型店の実現に取り組んだ今回のプロジェクトから、今後の未来を語ってもらった。
矢崎:「2019年の10月にオープンしてから、売り上げもかなり順調で、本当にたくさんのお客様にご来店いただきました。新型コロナウイルスの影響がなければ、今回の大型店を機に、ワークショップなどのイベントも考えていたんです」
小西:「今回の店舗が完成した際にも、これがゴールではなく、最初の一歩目だと、お話ししましたね」
矢崎:「このままではいつか飽きられてしまうので、時流に合わせて変わっていかなければいけないと思っています。内装だけでなく、新たな企画や他業種とのコラボレーションなどの多方面での進化を目指しています」
小西:「まさに、アダストリア様の企業文化にもあるように『答えを探し続ける、という答え。』ですね。私たちも、答えのない時代だからこそ、お客様と一緒に本質的な課題に迫っていく必要があると感じているところです」
矢崎:「スペースさんは、内装はもちろんですが、事業への理解も深いので、非常に心強い存在です。これからも一緒に、世の中の変化に挑戦していきたいと思っています」
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小西 克典
戦略推進本部本プロジェクトにおける役割:
プロジェクトマネジメント -
吉田 光希
東京本部本プロジェクトにおける役割:
営業、施工 -
柏瀬 上
商環境研究所本プロジェクトにおける役割:
デザイン -
羽田 稔雄
商環境研究所本プロジェクトにおける役割:
企画提案
業務範囲:設計/施工
(※肩書きおよび所属は2020年12月時点のものです)