Sustainability Activities交流と発見を生み出す、地域に開かれた観光拠点づくり「ふくい観光案内所」

2025.06.25
空間づくりを通じた貢献
地域ブランディング公民連携

プロジェクト概要

福井駅に隣接する福井市観光交流センター内に、福井県内の観光情報を発信する観光案内所を整備。福井市が実施した公募型プロポーザルにスペースが参加し、トータルデザイン・設計・制作・施工業務を受注。完成した案内所の運営を公益社団法人福井県観光連盟が担う。

 

 

福井駅を起点に県全体の魅力を体感できる空間へ

澤田氏 福井駅を県全体の玄関口にふさわしい場とする空間づくりが、「ふくい観光案内所」に係るプロポーザルの趣旨でした。2024年3月の北陸新幹線福井駅開業に向けて、福井駅を訪れる方々に対して、県のさまざまな情報と魅力を発信する拠点が必要と考えていました。

町田 今回は内装の設計・施工についての公募ではありましたが、建物自体の床・壁・天井がすでに完成している空間に、どのように什器を配置して福井らしい空間を構成するかが提案のポイントだったと思っています。空間内には大きな柱もあったため、それを軸にして什器を可動式とする方向で検討を進めました。時期によって前面に出す地域の情報を変えるなど、よりフレキシブルな展示や運営をできる設計とし、何よりもこの場所は観光客も地域の方もさまざまな方が利用されるので、その時々で変化する空間をつくることが最も重要だと考え提案しました。

澤田氏 当初から非常に完成度の高いご提案で、私たちとしても全体のイメージがつかみやすく、細部を詰めるだけで進められるという安心感がありました。同じ担当者がデザインから施工までワンストップで、かつ柔軟に要望に応えてくださったのも非常にありがたかったです。また、福井県産のスギ材をふんだんに使い、豊かな地域性を表現いただいた点も印象的でした。完成した案内所では、什器がすべて自由に動かせるようになっていて、想像していた以上に柔軟な空間の使い方ができます。

町田 幸福度ランキングで日本一に選ばれ続けているのが、福井県の大きな特徴です。「幸福なふるさとを感じさせる空間」を全体のコンセプトに、「家族」や「家」を什器デザインに取り入れ、また動かせる什器により、空間全体で「変化する街」を表現しています。また、恐竜王国として知られる福井の特色を生かし、県産材を使った恐竜のシルエットを随所にちりばめました。

 

 

「動く什器」を生かし、変化に出会える空間へ

町田 設計にあたっては、観光客だけに限らず、地域の方々にも広く親しまれる場にしたいという想いがありました。什器にベンチシートを組み込んで座れるスペースを設けるとともに、窓越しに案内所の様子が一際目立つような設えとしたのもそのためです。また、各市町の観光情報発信を最大限に行いつつ、単純にパンフレットや情報掲示だけでなく、さまざまな企画イベントで場の見え方や使われ方を変えることのできる仕組みとしています。

安田氏 実際、案内所は待合所と一続きの空間のように利用されています。頻繁に立ち寄ってくださる方も多いので、四季折々の彩りを意識して展示内容を工夫したり、パンフレットを随時入れ替えたりしています。観光連盟として設置している伝統工芸品のショーケースも季節ごとに変えているのですが、展示品についてのお問い合わせをいただくなど、地域の方が興味を持って見てくださっているのを感じます。

後藤氏 案内所にはワーキングスペースとしても活用できる什器があり、地域の方々がさまざまなワークショップを開催されていますね。住民の皆さんが家族や友達同士で参加されるのはもちろん、観光客の方もふらりと参加されるなど、自然と交流が生まれる場になっています。

渋谷氏 什器を自由に動かせることで、いつ訪れても変化があり、案内所の違った表情を楽しめるということだと思います。こうした「変化に出会える場」が駅にあるというのは、他ではあまり見られない特色になったと思います。

町田 福井県すべてをアピールできる場所にしましょうということでしたので、地域の方にも来訪される方にも日々新しいものを提供できる空間になったと思います。福井駅周辺に立ち寄った地域の皆さんにも、福井の魅力を再発見し愛着を深めてもらうきっかけになれば幸いです。

 

 

地域コミュニティーへの持続的な貢献を目指して

澤田氏 新幹線開業という節目に合わせ、駅に洗練された観光案内所ができたことで、福井県全体の印象や「格」が引き上がったと感じています。また従来、福井駅は西口に人の流れが集中していましたが、観光拠点への観光バスの発着所がある東口にも誘導したいという課題がありました。結果、魅力ある案内所を備えたことで観光客を誘導できるようになっただけでなく、案内所の中からバス停を指さしながらご案内できるなど、対応がよりスムーズになったことも大きな成果です。

後藤氏 最初に町田さんとごあいさつした際に福井への想いについてお話しいただいたのを覚えています。その気持ちをデザインに落とし込んでいただけたと思っています。オープンから1年を迎える中、スペースさんには継続してきめ細かいフォローをいただいています。先日も1年点検を実施していただきましたが、施設の改善点などについてプロの目線で考え、積極的に提案してくださり大変助かっています。

町田 ご提案させていただいたコンセプトの通りこの空間はこれからも変化し続けると思っています。当社は金沢事務所を構えているので迅速に対応することが可能です。運営の皆様から気付いたことを随時教えていただけるとまた新しい提案や何か役に立てることができるのではないかと思います。今後も寄り添って地域の魅力を伝えるサポートをし続けることが、私たちにできる持続的な地域への貢献だと思っています。

 

 

iF DESIGN AWARD受賞
「iF DESIGN AWARD 2025」を受賞しました。本アワードは、ドイツのハノーバーを本拠地とするiF International Forum Designが1954年から開催している国際的に権威のあるデザイン賞で、世界三大デザイン賞の一つとされています。

 

※本ページに記載の部署・役職は原則として取材時点のものです。