第三者意見

高岡 美佳 氏
立教大学 経営学部 教授
全体を通して、「空間の可能性を追求する。」という株式会社スペースのミッションが明確に反映されたレポートです。紙媒体のレポートとウェブサイトのサステナビリティページのいずれにおいても、社員やパートナー企業の声が多数掲載されており、顔の見える報告書となっている点も特徴です。
2026年はスペースにとって新しい中期経営計画の始まりの1年となります。新たな代表取締役によるトップメッセージでは、2040年に売上高1,000億円を達成するためには挑戦の積み重ねが求められており、商業施設だけでなくオフィスやホテル、公共分野といったさまざまな「空間」に仕事のフィールドを広げ、社員一人ひとりが「個」を磨き成長すべきであると述べられています。
企業が持続的に成長するためには、企業価値を上げ続けることが必要であり、その源泉は社員が持つ熱意・知識・能力であることは言うまでもありません。とりわけ、空間プロデュースという一種のサービス領域でビジネスを展開する際には、人的資本が重要となるでしょう。同社は、新中期経営計画において、専門性を持ちながらも自分の領域に線を引かずに空間づくりの始めから終わりまでを理解し、最適解を導くことができる人材の育成を目標に掲げています。このように、社員の知識や能力を資本としてとらえて積極的に投資し、中長期的な企業価値の向上につなげる経営を実践している点を高く評価したいと思います。
今回のレポートでもう一点評価したいのは、7つのマテリアリティ(重要課題)に関して指標(KPI)と目標値を公開していることに加えて、「なぜ?(Question)」スペースがその課題に取り組むのか、という点を、社会背景と同社の強みの視点からわかりやすく読者に伝えている点です。例えば、「スペースはなぜ地域コミュニティへの貢献に取り組むのか?」という項目では、人口減少・超高齢化により地域機能が低下しつつあることや、多くの地域で歴史・文化・産業といった魅力が存在するのにそれを伝えるノウハウや人材が不足していること、そして、その中で同社の空間プロデュースは「単に施設を物理的に作るだけでなく、人の行動を変え、体験を生み、人とモノ・情報と空間(場)のより良い関係性を育むことで、地域の魅力を高めていく」役割を果たすことができることが記載されています。
その他、「地域活性案件取り組み件数」「サステナブル素材活用案件率」「パートナーエンゲージメント」など多くの項目で2023-25年の目標値がほぼ達成されていることや、2026-28年の活動を対象として新たなKPIと目標値が設定されていることがわかります。2025年10月には人権尊重の取り組みを実践するために「スペースグループ人権方針」を制定するなど、スペースのサステナビリティ活動は着実に進捗していると言えるでしょう。
これらの点を高く評価するとともに、次年以降は、今回、目標値に届かなかった「女性管理職・専門職比率」などについても進捗が見られることを期待します。スペースの今後に大いに期待しています。
第三者意見を受けて
高岡先生には、本年度も引き続き貴重なご意見を頂き、御礼申し上げます。
第三者意見は、サステナビリティ分野における専門的な見地から、当社の取り組みや情報開示に対する評価や示唆を頂き、今後の改善につなげるための重要な機会と考えています。
今回、「空間の可能性を追求する。」という当社のMISSIONとサステナビリティへの取り組みとのつながりや、人的資本に対する考え方、さらに各マテリアリティについて「なぜその課題に取り組むのか」を社会課題と当社の強みの両面から伝えている点をご評価いただきました。一方で、ご指摘いただいた課題は継続して向き合うべきテーマの一つであり、改めて今後の取り組みの重要性を受け止めています。
今後も、KPIと目標を踏まえながら各マテリアリティへの取り組みを進めるとともに、その背景にある当社の考え方や、空間づくりを通じた社会課題との向き合い方についてお伝えすることで、ステークホルダーの皆様との対話につながる開示を目指してまいります。