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街と人々の暮らしが
繋がる場所へ。

トナリエ大和高田

クライアント:株式会社日本エスコン 様

少子高齢化が進み人口が減る中で、日本中の商業施設のあるべき姿が、いま改めて問われている。これからの時代に求められるのは、ただ物を売り買いするだけではなく、土地に根づき、そこに暮らす人たちの日常に寄り添えるような場所ではないだろうか。そんなクライアントの想いをきっかけに、「トナリエ大和高田」プロジェクトは始まった。

この街に、本当に
必要とされる施設とは?

三輪 剛直/大阪第2本部

福島 雅之/開発本部

奈良県大和高田市。大阪の中心地にほど近く、ファミリーやシニアが集まるベッドタウンとして住民に愛されているこの土地で、40年続いてきた商業施設を、新たな施設に建替えるという話が持ち上がった。

三輪:「プロジェクトのスタートは2015年です。“ライフ・デベロッパー”というビジョンを掲げている日本エスコンさまから、事業の構想段階でお声掛けをいただきました。最初は収支計画などの基本構想をつくるところからお手伝いさせていただきながら、プロジェクトを進めていきました」

三輪 剛直/大阪第2本部

トナリエプロジェクトの根底には、「地域に愛される、地域密着型のSCを」という日本エスコンの伊藤社長の想いと、そこで暮らす人たちの幸せを想い描き、暮らしそのものを開発するという“ライフ・デベロッパー”としての願いが込められていた。

福島:「日本エスコンさまは、もともとはマンションデベロッパーです。今回は初の商業分野への取り組みでした。数ある物件のうちの一つではなくて、重要な意味合いを持つプロジェクト。だからこそ、私たちスペースも本気の想いをもって動かないといけないと感じながら進めてきました」

福島 雅之/開発本部

実際に、大和高田の街を視察すると駅の周辺には公園や幼稚園、保育園などのパブリックスペースが少ないという課題がみえてきた。だからこそ、ただ郊外の大型モールを建設するのではなくて、どれだけ地域に密着した施設ができるか。それが、今回のプロジェクトにおいて重要なポイントだった。

街に開かれた、
立体公園をつくろう

収益性だけを重視して、敷地面積いっぱいにテナントを入れるやり方では、従来の一般的な商業施設と変わらないものができてしまう。そこで、社内のリソースのみにこだわらず、大和高田の街に本当に必要とされる空間を実現させるために、社外の建築家をチームにアサインすることが決まった。

三輪:「建築家の永山祐子さん(※1)にお声掛けをしました。今回のプロジェクトには、これまでにない新たな発想が欠かせませんでした。だからこそ、優れた商業施設の設計を手掛けた実績もあり、多方面で活躍されている永山さんにご依頼ができないかと思ったのです」
※1 2020年ドバイ国際博覧会の日本館や「ルイ・ヴィトン京都大丸店」など、国内外から注目を集める物件を多く手掛けている。

永山氏は建築家であるだけでなく、二人の子供を持つ母親でもあった。建築家としての視点だけでなく、商業施設を利用するユーザー側の観点も持ち合わせている永山氏が最も相応しいと社内で意見が固まった。設計・デザインの段階で焦点があたったのは、いかに大和高田の景観や暮らしに溶け込むような施設にできるかという点だった。議論を進める中で永山氏からの提案により、屋内と屋外の壁を極力取りはらった「街に開かれた立体公園」というコンセプトが生まれた。

諏訪田 倫也/大阪第2本部

奇驗 直純/大阪第2本部

諏訪田:「私は基本設計図書の作成を担当し、それを実施設計に落とし込むために現場との調整を行っていました。設計から施工に移る段階では、当然コストの問題がでてきます。使いたい仕上げ材があっても、コスト面で折り合いがつかない場合だってあります。しかし、永山さんは必ずコンセプトに立ち返って軸をぶらさない。デベロッパー側の意図を汲みつつ、最善の案を考えてくださるところは、純粋にすごいなと感じましたし、私たちもそれに応えなければと思いながら進めることができました」

諏訪田 倫也/大阪第2本部

商業施設である以上、ただ建築としてのデザインの質を突き詰めればいいわけではない。しかし、関わる関係者全員が制約の中でも理想の空間を実現させるために、コストや制約をどう乗り越えるかを考えながら一つの方向を向くことができたと施工担当の奇驗は語る。

奇驗:「施工を進める中でも、予算がないから諦めるのではなくて、建物全体のバランスを考えながらお金をかけるところ、逆に絞るところを明確にしました」

奇驗 直純/大阪第2本部

例えば、高い山株式会社の山野氏(※2)がデザインした壁面のグラフィックなど、トナリエ全体の空間演出において重要な位置づけを担うものに関しては、協議を重ねながらコストとのバランスを図っていった。
※2 「Amazon Fashion Studio」や「ハーマンミラーストア東京」のサイン計画などを手掛けるグラフィックデザイナー。

奇驗:「グラフィックを壁にまばらにいれるのではなくて、人通りの多いところに集中して配置するなど、メリハリをつけながら実際の施工を進めました。最終的には、関係者全員が思い描く理想と現実的な予算との兼ね合いを考えながらつくることができたと思います」

大和高田という
街ならではの“顔づくり”

大和高田という街に求められる施設を目指す以上、テナントリーシングにもこだわりがあった。全国的に名が知られている有名店を入れるだけでなく、どれだけ地元に根づいた店舗を入れられるかを意識したとリーシングを担当した福島と浅野は振り返る。

福島:「日本エスコンさまや永山さんなど、多くの人の想いが込められている施設です。だからこそ、どこにでもあるような店構えではなく、トナリエだからこその顔づくりをどう実現できるかを考えながらリーシングを行いました」

浅野:「やはりこだわりは、ローカルテナントを入れるということです。それが、地元に愛されるショッピングセンターのこれからのキーワードになってくると思っていました」

福島は何度も大和高田に足を運び、地元の店舗を巡っていったという。

福島:「実際にお伺いして、飲食店なら必ず自分でそのお店を利用し、納得してからお声掛けをしていました。店のオーナーやスタッフに近所のおすすめのお店を聞いたり、大和高田の街の流行をヒアリングしたりしながら、リーシングの候補を固めていきました」

商業施設に出店したことのない店舗も多く、簡単に首を縦に振ってもらえることは少なかった。当初の想定からの軌道修正も繰り返しながらも、愚直にお店に通い続けたことで、少しずつトナリエならではのテナントが揃いはじめた。

photo / Nobutada Omote

どれだけ細部まで、
暮らしを意識できるか

辻尾 隆輔/大阪第2本部

今回初めて大型の商業施設のプロジェクトに関わった辻尾は、施設内のサイン計画やダストボックス、ベンチの配置などを考える中で、日々の生活の中で自身の視点の変化を感じていた。

辻尾:「毎週のミーティングを通して、永山さんやチームのメンバーと話しながらサインの一つひとつにどのような想いを込めるかなど細かい部分を詰めていきました。そこでの会話は、若手の自分にとって大きな学びになりましたし、それまでは意識していなかったダストボックスの形状や設置場所に目がいくなど、普段の生活の中での見方そのものが変わっていきました」

辻尾 隆輔/大阪第2本部

また、広い客層が足を運ぶ商業施設においては、テナントだけでなく共用部分が非常に重要な要素になってくる。

林:「どれだけいい店舗が集まっていても、トイレが使いづらいというだけでお客さんの数が減ってしまうこともあります。老若男女問わず集まる場所だからこそ、共用部の使いやすさは特に意識をしました」

トイレはできるだけコンパクトにしながらも、広さを感じさせる動線設計を考え、ファミリー層のためにベビールームにもこだわったという。

林:「閉鎖的にならないよう、工夫をしました。最近のファミリーは、男性も子育てに関わります。だからこそ、お母さんだけでなくお父さんも入りやすいような入り口のデザインにするなど、家族みんなが心地よく過ごせるような場所を目指しました」

もちろん、今回のプロジェクトはクライアントであるデベロッパーの事業を成功させるためにあった。その上で、まず一番に考えなければいけないことは、施設を訪れる人の満足、喜び、そして笑顔になれる空間をつくるということ。トナリエの完成に向けて、関係者全員がそんな想いを持つようになった。

トナリエがある街」を目指して

2018年11月。トナリエ大和高田はついにオープンを迎える。オープンイベントでは、街の人たちが行列をつくり、多くの人々が訪れた。

諏訪田:「今回、環境設計や基本設計などから関わることができて、個人的にも思い出深いプロジェクトになりました。これからは、街の顔になるような施設になれればいいなと思います。『大和高田といえばトナリエだよね』と言われるようになったら嬉しいですね」

西河:「トナリエプロジェクトでの経験を通して、これからはただ施設をつくるだけではなくて、その先を見据えた上で設計や提案をできるようにならないといけないなと感じました。しっかりお客様の想いを聞いた上でアドバイスできるような人になりたいと思います」

また、プロジェクトマネジメントを担っていた三輪は、これまでの約3年間に渡る取り組みを、こう振り返る。

三輪:「時代がどう変わっていくかというのを考えながら、自分の中で情報を集めて、咀嚼して、賛同できる方たちを一緒にチームとして呼べる、もしくは社内で体制をつくれることが『商空間プロデュース』ということなのではないかと感じました」

クライアントである日本エスコンをはじめ、永山氏、山野氏、それ以外にも多くの人たちの想いを一つにすることで初めて、トナリエは最高のスタートを切ることができたのだ。

三輪:「無事オープンができて少しほっとしましたが、本当に大事なのはこれからだと思っています。ただ物を買うだけではなくて、トナリエで自分だけのお気に入りの場所を見つけてもらって、なんだかここにいると落ち着くよねとか、楽しいよねとか感じていただきたいですね。そして、その輪が家族や友人など、どんどん周りに広がっていくような場所になれればと思います」

photo / Nobutada Omote

Project Member

業務範囲:プロジェクトマネジメント / 設計 / 施工 /サイン計画 / リーシング / キャスティング

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