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街を愛する人たちとつくる、
街に愛される商業施設。

アリオ八尾

クライアント:株式会社イトーヨーカ堂 様/
株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク 様

日本中の多くの地域で、商業施設のあり方が問われ始めている。ただ買い物をするだけにとどまらない、施設の新たな役割とはなんだろうか。きっと、その答えは一つとは限らない。だからこそ、本プロジェクトでは施設全体のプランニングの段階から、生まれ育った街を愛し誇りをもつ人たちの声に耳を傾けた。「河内木綿藍染保存会」や「寺内町久宝寺」、「やお文化協会」など、土地に根づいたNPOの方々とともに八尾独自の施設づくりが始まった。

街に必要なものは、
そこに暮らす人が知っている

草間 利夫 様/株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク
常務執行役員 営業本部 営業推進担当部長

田中 三弘/商環境研究所 クリエイティブ部 室長

蒲 大岳/商環境研究所 クリエイティブ部

大阪府八尾市に2006年にオープンした「アリオ八尾」。13年の歳月が経ち、時代に合わせたリニューアルの検討が始まった。プランニングを進めるにあたって、八尾の街独自の施設にするためにどうしたらいいのか、ということが議論の重要なポイントだった。

草間:どんな施設でも、リニューアル後すぐは売上があがります。しかし、一時的に人が集まるだけではなくて、長く愛される場所をつくらなければ意味がありません。だからこそ、まずは地元愛にあふれた方に会いにいき、話を聞いて街のことを勉強させてもらうところから始めました。

草間 利夫 様/株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク
常務執行役員 営業本部 営業推進担当部長

実際に街に訪れ、そこで暮らす方々の話を聞くと、ただ街並みを歩いているだけではわからない、八尾独自の歴史や魅力が見えてきた。

田中:例えば、八尾には「河内木綿」という生地を藍染めする技術があります。一つひとつの文様にも意味があり、非常に魅力的なデザインであるにも関わらず、一部の方にしか知られていない実態がありました。

田中 三弘/商環境研究所 クリエイティブ部 室長

より深く話を聞くために、河内木綿の職人探しが始まった。調査を進めるうちに、ある一つのNPO団体に辿りついた。

蒲:調べる中で「河内木綿藍染保存会」というNPOを見つけました。最初はなかなか連絡が繋がらず、飛び込みでお伺いして鍵が閉まっていたことも。しかし、なんとか一度お会いして話を聞くと、本当に丁寧に河内木綿の魅力を教えてくださいました。やはりすごくいいものが八尾にはあるのだと感じた瞬間でした。

蒲 大岳/商環境研究所 クリエイティブ部

施設のリニューアルに関して想いを伝えると、無事快諾。他にも「寺内町久宝寺」「やお文化協会」などのNPOの方々からも協力を得ながら、プロジェクトは前進し始めた。

正真正銘の、「本物」を使おう

吉水 卓 氏/株式会社スイミーデザインラボ
アートディレクター

本当の意味で八尾ならではの施設にするために、田中と蒲には一つのこだわりがあったという。

田中:時折見かける「◯◯風」というような模倣のデザインではなく、一番こだわりたかったのは、それが「本物」なのかという点です。だからこそ、河内木綿に関しても実際の型紙をゆずっていただき食物販の柱のデザインへ落とし込んでいきました。

蒲:それぞれの文様の意味や歴史などを職人の皆さんに教えていただき、議論をしながら一番適したものを選んでいきました。その模様をグラフィックとして空間に展開し、 歴史あるものづくりの街を感じていただくことを目指しました。

レストランストリートには八尾の街並みを感じられるビジュアル表現を施すことが決定した。アートディレクションを担当した吉水氏はこう語る。

吉水:街の人に話を聞くと、神社の手すりの台座にある菊の花びらの枚数など、細かいところまでこだわりがあり、本当に愛着があるのだということを実感しました。デザインにする上ではある程度デフォルメーションしますが、街の方々が見たときに違和感がないようなデザインを目指しました。

吉水 卓 氏/株式会社スイミーデザインラボ
アートディレクター

さらに、老若男女が訪れる商業施設だからこそ「わかりやすさ」も重要なポイントだった。

吉水:よく見ないとわからないですとか、デザインにメッセージが隠されているのではなくて、子供からご高齢の方までひと目見たら理解ができて、街の魅力が伝わるように意識しながらデザインをしていきました。

草間:街の本当の魅力は、webや資料を見ているだけではわかりません。本物は、その街の人たち自身の中にある。それをどれだけ引き出せるかが今回のプロジェクトの鍵になる部分でした。

同じ目線で考え、
共につくりあげていく

今回のプロジェクトは「クライアントから依頼を受けて提案する」といった進め方とは少し異なるものだったと、田中は振り返る。

田中:こちらが一方的に提案をするのではなく、草間さんと共に何度も現地に足を運んで、同じ感度や温度感で形にしていけたと思います。関係者全員で同じマインドを持ちながら、一緒に感動したり、喜んだりして進められたのは貴重な体験でした。

蒲:訪れる人にとって、八尾の街にとってどうありたいか、実際の利用シーンをイメージしながら草間さん、吉水さん、そしてNPOの方々と議論して進めていき、お客様の目線を常に意識することで、空間を通じて改めて街の魅力を伝えていくことができたのではと感じています。

吉水:グラフィックの視点で考えたものをスペースさんに伝えると、それを再現してくださるだけでなく、常にプラスアルファをしていただいて、アウトプットが100%以上の仕上がりになっているので感動しました。お互いに理解できていたからこそ、やりやすさがあったのだと思います。

街」そのものが、一つのチーム

2019年春、アリオ八尾はリニューアルオープンを迎えた。オープン後、100店以上あるテナントも含め、大幅な売上の増加率を記録。リニューアルを行っていないエリアに関しても大きく来店者数を伸ばしている。

田中:気持ちを共有できる人をどれだけ増やせるのか、ということがとても重要だったなと思います。今回は草間さんや吉水さんだけでなく、街のNPOの方々にも入っていただいて、街全体がチームになれたのかなと感じました。

吉水:今回、八尾にしかできない施設ができたと思っています。これからは、八尾の方々が誇りに思えるような場所になっていっていただけたらうれしいですね。

リニューアルオープン後、しばらくして蒲のもとに一通の手紙が届いたという。

蒲:実は、河内木綿は一時期衰退していた工芸です。その復元を行った第一人者である村西徳子さんという方から、地域の伝統工芸を取り入れ、その良さを伝えたことに対してお礼の手紙をいただきました。手紙を拝読して、一番喜んでいただきたい街の方に喜んでいただけたという実感がわきましたし、心からやってよかったと感じることができました。

今後、アリオ八尾は街にとってどんな存在になっていくのか。

草間:時代の変化とともに商業施設のあり方も変わり始めています。情報発信の場であったり、コミュニケーションの場であったり、それは、時代の流れと土地に住む人によって変わります。アリオ八尾に関しても、今後も街の声を聞きながら「アリオがあってよかった」と思ってもらえるような場所にしていければと思います。

Project Member

業務範囲:プランニング/アートディレクション/デザイン/設計/施工

(※肩書きは2019年7月取材時のものです)

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