Third Party Opinion第三者意見

昨年度の第三者意見を受けて

高岡先生には、2024年度のサステナビリティレポートに対し貴重なご意見を頂戴し、本年度も引き続きご指導いただけることに御礼申し上げます。
昨年度は、本業を通じて持続可能な社会づくりに貢献している点についてご評価をいただきました。ご意見もふまえ、当社の重要課題に対して空間づくりを通じた解決手段を考える、ワークショップ型の社内研修を実施しました。営業部門の幹部社員を中心とした参加者は、自身の業務と結びつけながら、社会課題とそれに紐づく顧客課題を解決する具体的な提案内容を検討しました。部門横断でディスカッションすることで、インプットとアウトプットを同時に行い、サステナビリティについて改めて自分事化して考える機会となりました。また、2024年度入社新卒社員に対しては入社時研修として、サステナビリティの基本的な考え方や、当社の方針・取り組みについて、グループワークも交えながら講義を行いました。こうした社員の理解と意識向上の取り組みを継続的に行い、サプライチェーン全体でのサステナビリティ推進に生かしてまいります。
引き続き、皆様からのご意見を大いに参考とさせていただき、サステナビリティ活動の推進およびご報告内容の充実に努めてまいります。

社内研修の様子
社内研修の様子

社内研修の様子

第三者意見

高岡 美佳 氏 立教大学 経営学部 教授

高岡 美佳 氏
立教大学 経営学部 教授

全体を通して、「明日が、笑顔になる空間を。」というSLOGANがわかりやすく反映されている印象を受けます。また、社員やお取引先などの声や現場の写真などが多数掲載されており、サステナビリティコミュニケーションの点でも優れたレポートとなっています。
最も強く印象に残ったのは、トップメッセージで佐々木靖浩社長が「サステナブルであるためには本物でなくてはならない」と述べていることです。同氏が「本物」の要件としてあげるのは、「伝統や技術に裏打ちされている」「ものの本質をついている」「直接顔を合わせて話をする」「こだわりをもってやりきる」等です。これらの要件は、例えば、企画からデザイン・設計、施工に至るまで、全工程を1人の社員もしくはチームが担うというスペース社員の仕事の仕方に反映されていますし、本レポートの対談記事やTOPICで取り上げられる「まちづくり」「地域コミュニティーへの貢献」「観光拠点作り」に励むスペース社員の日々の活動の中に組み込まれてもいます。スペースが関わった多くの事業が持続的に成長を遂げ、地域全体のサステナビリティを生み出しているのは、その帰結であると考えます。
さらに、今回のレポートで高く評価したいのは、人事制度改革について社員と役員が本音で語り合った内容を掲載している点です。同社の7つの重要課題のうちの「多様性の尊重」「人材開発と働きがいのある職場づくり」に関する特集記事ですが、そこでは、男性育児休業率をさらに引き上げるための施策や、女性管理職を増やすための育児サポート等の支援策の必要性が語られています。近年、注目を集める人的資本経営では社員の育成・成長に投資することが重要だと言われますが、そのためには、目の前のことに追われない長期的視点に立つ職場環境作りが必要です。スペースの場合、人材育成と業務遂行との両輪のバランスがよくとれており、ここにも、人を大切にすることで定評がある同社の特徴が反映されています。
最後に、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量を把握し、排出削減に向けた具体的な対策を講じていくため、スコープ3排出量の算定を進めているとのことなので、次年度には、算定結果をふまえた適切な目標の設定や施策の提示が行われることを期待します。