Sustainability Dialogue取締役ダイアログ:
スペースはなぜ地域コミュニティーへの貢献に取り組むのか?
2026年度実施
スペースが取り組む重要課題の一つ「地域コミュニティーへの貢献」。
この重要課題について、取締役とサステナビリティの専門家(聞き手:株式会社クレアン)によるダイアログを行いました。
問いと答えの対話を通じて、それぞれのテーマに「なぜ今向き合うのか」という背景に迫ります。

取締役常務執行役員 大阪本部長
森田 昭一

取締役常務執行役員 大阪本部長
森田 昭一
人の気持ちを元気に豊かにして、笑顔を生み出していく
マテリアリティの一つにもなっている「地域コミュニティーへの貢献」というテーマを、どのように捉えておられますか。
森田私たちが担う空間プロデュースとは、ただ施設を作ったり建物を飾ったりするだけの仕事ではありません。企業スローガンである「明日が、笑顔になる空間を。」にあるように、人の行動を変えて楽しさを生み出したり、豊かな関係性をつくり出したりできる空間をデザインしていくことだと考えています。
この事業を通じて、地域社会の活性化という社会課題解決に貢献し、地域のサステナビリティ向上にも寄与できることは大きな喜びであり、「商空間の創造を通じて、豊かな社会の実現に貢献します。」という私たちの企業理念そのものだと考えています。新たな商空間を創造することで、町や生活者のハートを元気に豊かにし、それまでなかった笑顔を生み出していく。それはまさにスペースらしい取り組みだといえるのではないでしょうか。
スペースの強みを、その中でどう生かしていけるとお考えでしょうか。
森田魅力ある地域づくりを考えるときには、多くの場合ショッピングセンターのような商業施設の存在が重要になります。買い物、レジャーなど人々の生活に欠かせないさまざまな機能をつなぐ、いわば「ウェルビーイングのハブ」のような役割を商業施設が果たすのです。
そして、スペースはこれまで商業空間づくりにずっと携わってきました。それも、ラグジュアリーな空間というよりは地元の人たちが生活の中で利用するような、身近な商業空間が中心です。その中では常に、お仕事のご依頼をいただいた直接のクライアントだけではなく、施設を利用されるお客様を第二のクライアントとして意識してきました。
こうしたことは、地域の活性化に取り組む上での大きな強みです。私たちの持つリソースを生かして、その土地の豊かさや楽しさ、利便性を向上させて新しい価値を創造し、生活圏としての価値を上げていくことができると思っています。
大都市だけではなく、全国に拠点を置いていることも強みとなるでしょうか。
森田そのとおりです。その地域の魅力を他の地域へと発信したり、全国規模の情報を取り入れたりしながら、活性化に貢献していくことができる。さらには、地方の異なる拠点同士をつなぐことで、相互関係を通じて新たな価値を生み出していくこともできます。
さらに、こんな建物を作りたい、この空間をプロデュースしてほしいといった個別の要望に応えるだけでなく、ハード・ソフトの両面を一体として重ね、窓口一つであらゆる要望や課題に対応していくワンストップ体制を追求することで、お客様により大きな価値を提供することができていると考えています。
地域との共創のストーリーを生み出す
自分たちの取り組みが地域コミュニティーにいい影響をもたらしたと実感できた経験はおありですか。
森田昨年、関西で地元バスケットボールチームのホームアリーナ新設のプロジェクトに関わりました。
建設予定地は神戸市の市街地に近いウォーターフロントで、かつては商業施設などで賑わう場所だったのですが、阪神淡路大震災後の復興が遅れたエリアでもあり、人の流れが途絶えてしまった町でした。そこで、再び活性化させるための起爆剤にしようと、神戸市も関与して地元バスケチームを誘致し、ホームアリーナを建設することになったのだそうです。
地元の人たちにチームのファンになってもらうことはもちろん重要ですが、それだけでは試合興行の日以外は閑散とした施設になってしまう課題もありました。そこでクライアントと共に、スポーツ事業を軸に地域生活者が楽しめる時間や体験価値、つながりを生み出す空間を一緒になって想像し協議していきました。家族や友達との関係を深めることのできる場、地元の人たちに生活の中で利用してもらえる場とは?を顧客と共創し取り組みました。
具体的には、さまざまなイベントを企画したのに加え、オープニング前には、地元の子どもたちを対象にしたアートワークショップを開催するなど、単なる施設利用のお客様ではなく参画者になってもらえるような仕掛けをしました。できあがった作品は、併設するカフェの壁に飾られています。
私たちが今まで培ったリソースを活用しながら、お客様と一緒につくり上げていく、共創するという形で進めたプロジェクトとして、非常に印象に残っている案件です。オープン後も、継続してイベントプロデュースなどに関わらせていただいています。
今回の中期経営計画では、マテリアリティに基づく非財務KPIの一つに「地域共創プロジェクト数30件」を掲げています。前中計では地域活性案件取り組み件数となっていたのを、共創プロジェクトとした狙いはどこにあるのでしょうか。
森田これからは、件数や売上といった数字だけではなく、そこでストーリーがつくれたかどうかを重視したいと考えています。行政や地域の人たちと連携することで、地域に循環の輪をつくり、一つのものをつくり上げていく。そうしてストーリーを生み出しながら、地元の人たちに愛される空間づくり、そして経済的な豊かさの創出にもつなげていきたいと思っています。
同時にそれが社会的な価値だけでなく、私たちの事業拡大につながっていくということも重要です。
そのために、今後重要だと感じていることはありますか。
森田近年、地域活性化に関わるときに必ず出てくるのが、サーキュラーエコノミーを構築したい、環境にやさしい取り組みを、という要望です。行政が参画するお仕事の場合は特に、評価指標に必ず環境負荷やリサイクルに関する項目が入っています。
これと非常にシナジーが高いのが、捨てない空間づくりに取り組む当社の「リプロ推進室」です。ここでの取り組みから生まれた知見をスペースの新たな提供価値として活用し、事業拡大につなげていきたいと思っています。
新しい取り組みを面白がれる力を
地域活性化に関わる人材に期待したいことは何でしょうか。
森田社員にはいつも、新しい取り組みを面白がれる力を身につけようと言っています。どんなプロジェクトでも、スペースの力だけでできることには限りがあり、プロジェクトのコンセプトや価値を伝えて共創パートナーやブレーンを巻き込むことが欠かせません。そのとき、自分が面白がれていれば、その熱量が相手にも伝わり、共感につながっていくものです。
新しいことに踏み出すときには萎縮してしまうもので、誰でも簡単にできることではないと思います。でもそこで、不安もあるけれど面白そうだなと思える人、面白さを見出せる人は、未経験のネガティブな要素があってもそれを乗り越える力を身に付けていき、自走しチームや顧客事業を牽引していける人材に育っていくと感じています。

そのための試みなどはありますか。
森田社員から新規事業についてのアイデアを募る「事業提案制度」はまさにそうだと思います。リプロ推進室も、その第一号案件としてスタートしたものです。
森田さんにとって、スペースの魅力とは何でしょう?
森田やはり、若いうちからかなり裁量権を持って動けることです。いわば、スペースという軒先を使って、いろんなことにチャレンジできるのが大きな魅力だと思います。
だからこそ、一つひとつの仕事に思い入れを持って取り組めるし、それがお客様の想いを叶えたいという強い意志にもつながります。お客様の、一見無理だとも思えるような要望をなんとか実現して喜んでいただいたときには、この仕事をやっていてよかったなと実感します。
私たちの仕事は、目に見える空間をつくることだけではなく、人の感情や思いに向き合いながら目に見えない価値を生み出していくものだと思っています。仕事を通じて自分自身の想いを叶えながら、お客様の想いも叶えていく。それができる会社の在り方を、これからも大切にしていきたいと思っています。

- 本ページに記載の部署・役職は原則としてダイアログ実施時点のものです。