Sustainability Dialogue働く多様性と制度をつなぐ対話

2025年度実施

中期経営計画の目標の一つでもある「全社員活躍の実現」。
そのために、スペースでは人事制度の改革を進めてきました。
改革の成果やさらなる課題、スペースの風土について
実際に制度を利用する社員と人事担当常務が本音で語り合いました。

ハヤシハラダイチ
東京本部
東京第2事業部
SD部
部長

太地 あかね
沖縄スペース(株)
出向チーフ

松尾 信幸
取締役常務執行役員
経営管理本部長

谷川 結美
制作管理本部
大阪コーディネート部
課長

赤﨑 弘治
大阪本部
大阪第3事業部
営業7部
マネージャー

藤川 美穂
経営管理本部
名古屋管理部
チーフ

それぞれのライフステージに合わせた働き方

育児休業や時短制度などを取得・利用した経験と感想をお聞かせください。

太地子会社である沖縄スペースに出向中で、育休から復帰2か月の今はスーパーショートタイムというかたちで働いています。一時は三重県の実家からのフルリモート勤務もしていました。週に1回は必ず沖縄スペースのメンバーとのミーティングがあるので、みんながどんな業務をしているのかも把握できますし、疎外感もありません。従業員10人未満という小さな会社ならではかもしれませんが、とても柔軟な働き方をさせてもらっています。

谷川私は、2024年6月に2人目の育休から復帰しました。今の勤務体系はショートタイム7時間です。保育園のお迎えのため、16時45分には職場を出なくてはならないのですが、2024年からショートタイムにもフレックスタイムが認められたのでとても助かっています。夫に送迎を頼める日は早く出社したり、残業したりすることも。毎日絶対7時間働く、だったら難しかったと思うので、そうではないのがありがたいですね。

藤川2024年5月に育休から復帰して、ショートタイム6時間勤務を選択しました。9時出社、16時退社を基本的なスケジュールにしていて、子どもを保育園に迎えに行って一緒に過ごす時間がしっかり取れることもあり、このスタイルが自分に合っていると感じています。子どもが熱を出したときは柔軟に在宅勤務に切り替えられますし、時短勤務が子どもの小学校卒業まで可能なのもとても心強いです。
もともと、周りにも子どものいる女性社員が多く、産休・育休を取って復帰する方々を見てきました。それで自分に子どもができたときも、産後の働き方が想像しやすかったですし、自分にもできるなと思えた気がします。

ハヤシハラ2024年10月に息子が生まれ、1か月間の育休を取りました。男性育休も社内に浸透していますし、制度や環境は整っていると感じました。中でも、直属の上司に「絶対取ったほうがいい」と言ってもらえたことが育休取得の後押しになりました。今後、自分の部下が育休を取得することがあったら、同じようにサポートしたいと思っています。
育休中は妻の実家で過ごしました。もちろん気を遣うところもありましたが、妻の家族とも互いに理解が深まりましたし、育休を取ったからこそのいい経験になったと感じています。

赤﨑2024年8月から3か月間育休を取りました。育休中は妻と2人で、夜中の授乳や沐浴など、初めての育児に奮闘しました。育休取得については管理部の方のマンツーマンのサポートがあり助かりました。また、取得の流れが詳しく書かれた「産休・育休ハンドブック」もあって、とてもわかりやすかったです。
ハヤシハラさんと同じように、私も相談した上司が「自分たちのときはまだ取得しやすい雰囲気ではなかったけど、今だったら自分も必ず取る」と言ってくれて。もともと、日常的に子どもができた後の働き方について会話をできる関係性だったこともあり、取得しやすい環境だったと思います。

松尾男性社員の皆さんも、私のときとは比べられないくらい積極的に育児に関わっていると感じています。

谷川私は社内結婚ですが、私が出産したころはまだ男性の育休取得者が数えるほどしかいなかったこともあり、会社から取得の働きかけはあったのですが夫は育休を取りませんでした。そこからまだ2~3年ですが、ずいぶん社内の雰囲気も変わったと思います。ただ当時も有給休暇等でまとまった休みを取ることができて会社からもフォローしてもらったので、今はより男性が育児に参加しやすくなってきたという感じでしょうか。

太地男性も育休を取ることでしっかり子どもに向き合えますし、子育ての大変さを夫婦で共有できる大事な期間になりますよね。

藤川各家庭の事情やスタイルに合わせて育休の取得や働き方のスタイルを選択できるのはとてもいいところだと思います。

より良い制度や風土に向けて

制度を利用して感じたことや、今後に向けてより良くできると思った点はありますか。

ハヤシハラ男性育休は今もまとまった期間での分割取得はできますが、たとえば「週に1回を3か月間」というように、もっと細かく取得できる仕組みがあったら良かったと思いました。
あと、周囲の理解があったとはいえ、常にお客様とのプロジェクトは動いているので、育休を取得することで、自分が抜けたら業務が回らないんじゃないかという不安はどこかにあった気がします。

赤﨑育休が明けた後も当然ながら子育ては続くので、残業して遅くに帰宅しても今度は育児が待っている。そこの身体的ストレスは大きいので、復帰後も制度的なサポートがあるといいですね。

藤川私自身は今、子どもが熱を出したと保育園から連絡があれば「帰ります」とすぐに言える環境にいますが、そこで帰りづらい雰囲気があったら大変だろうな、と思います。

谷川私は時短勤務になったとき、思った以上にお給料が下がった感覚でした。もっといろいろな仕事に挑戦したいという思いもありますし、葛藤が続いています。だからでしょうか、周囲の子どものいる女性社員には、少し無理をしながらも時短を使わずに働いている人も多いように感じますね。

松尾時間の制約から思うように働けないことや収入面の不安といった声は社員からたびたびあがってきます。それぞれの事情に合わせたフレキシブルな働き方や仕事内容を、相互に理解を深めながら決めていきたいです。

太地これも松尾常務にお聞きしたいのですが、フルリモート勤務の社員には昇給・昇格が認められていないのはなぜでしょうか。モチベーションにも関わりますし、それだとフルリモートは選べないと、無理をする社員も出てくるのではないかと思います。

松尾フルリモートはもともと、病気や育児、介護などにより出社が難しく職務内容が制限されてしまう場合を前提につくった制度なので、その期間の昇給・昇格は想定していませんでした。ただ、実際にはフルリモートを選択する社員それぞれで状況が異なるのも確かです。今のご指摘は聞き流さずしっかりと頭に留めて、今後につなげていきたいと思います。

社員にとっての価値、会社にとっての価値

人事制度の充実は、社員・会社にとってどのような価値があるのでしょう。

松尾スーパーショートタイムなどの柔軟な働き方を導入した背景には、病気や育児、介護などの事情を抱えた人に、短時間でもいいからキャリアを切らすことなく働き続けてほしいという想いがあります。社員にとっては、ワークライフバランスの充実や長期的なキャリア形成につながるでしょう。スペースにとって最も重要な経営資源は人ですから、皆さんがやりがいを持って働き続けてくれることは、会社の成長において何よりも価値があることです。

制度活用の課題をどう認識されていますか。

松尾今日の話を聞いていても、制度を正しく理解してもらうための情報発信や、制度を活用するための風土の醸成が不十分だと感じました。例えば、男性育休は最大4回に分けて分割取得することができますが、そうしたことは当事者だけでなく周囲も理解しているとより良いですよね。どうすれば広く周知できるか、考えていきたいと思います。
また、働き方の選択肢は広がっているものの、女性管理職を増やすにはまだ別の課題もあります。当社の事業では、部署によってはどうしても夜間工事があるので、特に管理職であればお客様・パートナー企業の対応や部下のフォローをする必要も出てくる。子育てとの両立において、それがネックになりやすい。組織的にサポートできるような仕組みをつくらないと、女性管理職は増えていかないのではないかと考えています。

社員の皆さんからも、提案がありましたらぜひ。

ハヤシハラ一つ提案したいのは、一時的に勤務地を変える制度です。育休期間を妻の実家がある大阪で過ごしたので、復職後にしばらく大阪のオフィスで働くことができれば、里帰り中の妻子と過ごしながら仕事に復帰できたなと思います。
それから、子育てに関する情報共有や相談ができる社内コミュニティーみたいなものができると面白いかなと思いました。

赤﨑たしかに、同じような状況の人に「うちはこうしてるよ」なんていう体験談を聞きたいです。

太地そうした場をつくっても、皆さん忙しいので業務を優先してしまって、なかなか参加しにくかったりもしますよね。だから、会社から半ば強制参加くらいにしてもいいかもしれないです。あと、会社の中や近くに託児所が欲しいです。スペースは子どもの遊び場も手掛けていますし、仕事の上でも色々な視点を養える良い機会になるんじゃないでしょうか。

谷川それは、毎日ではなくても一時利用できたらとてもありがたいですね。

「明日が、笑顔になる空間」に向けて

最後に、SLOGAN「明日が、笑顔になる空間を。」を実現していくための人事制度の在り方について、お聞かせください。

赤﨑今日もいろいろな意見が出ましたが、年代などによっても人の価値観は大きく違って、若手の女性社員が上の世代の女性社員のハードな働き方を見て、自分にはこれができるだろうかと不安になったという話を聞きました。スペースの未来を考えたとき、女性社員が活躍できるようにすることが絶対に必要だと思うので、まずは女性特有のニーズや課題に対して制度を整えていくことが一つのポイントなのかなと思います。

谷川今後は女性だから子育てをする、男性だからバリバリ働くという考え方も変わってくるのではないかと思います。それとともに、全体的な残業も減っていけばいいと思うし、男性も女性も子どもが熱を出したときには「パートナーよりも自分のほうが手が空いているので帰ります」と当たり前に言えるようになっていったらいいなと思います。

太地「明日が」と言いつつ、実際には目の前のことで精一杯な人が多いのが現状だと思います。育児以外にも妊活中であったり、スキルアップのための勉強などさまざまな理由で業務量を見直したいという人はいるはずなので、それを会社が尊重するかが問われていると思います。
自分から手を挙げられない人もいるでしょうから、会社側からも「ワークスタイルを変えられますよ」と周知したり、ヒアリングしたりと働きかけていってほしい。今日のような場も、とても貴重だしさまざまな気づきにつながると思います。

藤川私も、今は育児・介護・傷病に限定されているショートタイムやフルリモートの働き方を、もっと幅広い人が選択できるようになってほしいと考えています。それによって、みんながずっと働きたいと思える会社になっていける気がします。
今は、変化のスピードが速い時代ですから、働き方についての制度や施策もスピード感を持って進化していくことを期待したいです。

ハヤシハラ「笑顔になる空間」の実現に向けた制度はある程度整ってきたと思うので、あとはそれを生かすための文化をもっと浸透させていくことが必要だと感じています。
「多様な人材が活躍できる会社に」というときの「多様」には、さまざまな事情を抱えた人も含まれるはず。常に高いパフォーマンスを出せる人を基準にものを考える文化をまず変えていく必要があるのではないかと思います。それができれば、スペース全体としてもより持続可能な会社になっていけるんじゃないかという気がしています。

松尾制度はつくって終わりではないと考えています。社員の皆さんにもっと浸透させること、制度を生かせる社内風土の醸成にも力を入れていきます。また、運用する中で見えてきた課題やいろいろな変化に合わせて、常に見直しをしていかなくてはいけないとも考えています。
その意味では、育休を取得したり、さまざまな制度を使いながら勤務したりといった皆さんの経験や気づきを広めていっていただくことも重要ですので、ぜひお願いします。今日は貴重な意見をありがとうございました。

  • 本ページに記載の部署・役職は原則としてダイアログ実施時点のものです。