Sustainability Dialogue社長×社外取締役対談

2023年度実施

社会環境が大きく変化していく中で、スペースが中長期的に社会から求められる価値を提供し、
次のステージへの成長を遂げるためには何が必要か。
当社代表取締役社長である佐々木靖浩と社外取締役の和田良子が、
10年後のスペースのありたい姿について意見を交わしました。

急速に進化したこれまでの10年と、拡大成長を目指すこれからの10年

佐々木東証の一部に上場したのが2012年でしたから、それを機に事業の幅がどんどん広がってきたのがこの10年間です。商業施設以外にも、道の駅や公共施設などに着手し始めた時期です。プロモーション空間や地域活性化など、次の10年で力を入れていきたいところを、私自身も先頭に立って経験してきました。

和田私は2012年に社外取締役に就任しましたが、この10年でスペースは急速に進化してきたのを実感しています。事業の幅が広がるとともに、コーポレート・ガバナンスの改善にスピード感を持って取り組むなど、経営の形も高度化してきました。就任する際、「将来、スペースの中から女性社長が誕生する布石」と創業家の方に言われたのですが、今でいう取締役会の多様性やジェンダー平等に先取りして取り組むすばらしい会社だと感じました。

佐々木経営を考える上では常に未来を見据えて考えなければいけません。今の中期経営計画も、2017年から12年間を見据え3か年を4つのフェーズに分けて考えた3ステップ目です。さらに今、25年後の100周年を見据えての議論をよくしており、1,000億企業ということを話します。仮にそうだとすると10年後はおおよそ700億になっていなければなりません。この時、私たちがどのような仕事をしているのか。私は、商業施設以外にも、新たに挑戦を始めているオフィスやホテルなどのサービス分野、公共施設、そして地域活性化につながる仕事にしっかりと取り組んでいるという姿を描いています。全国に展開していて、企画・設計から施工、現場管理、メンテナンスまで一貫した業務体制という強みを生かして、地域に密着した事業を展開していく考えです。

和田商業施設のあり方も、10年後は大きく変わっているかもしれません。例えば今、長時間の歩行や車の運転ができないなど移動手段が制限されてしまう高齢者をサポートする技術の実用化が進んでいます。この技術とスペースが今持っている技術を活用して、買い物困難の問題を解消するだけではなくて、高齢者が買い物を楽しめる、今までになかった施設ができるかもしれませんね。

佐々木当社は建物自体の建設は行っていませんでしたが、新しく建築技術部も設けました。また、商業コンサルティング業務も拡大していきますので、建設から運営管理まですべてプロデュースして、今までにない施設を実現することも夢ではありません。顧客や地域社会に対して提供できる価値の範囲を拡大していきたいです。

リアルな場だからこそ生まれる感動をつくり出すことがスペースの使命

和田世の中のバーチャル化が進む中でも、スペースはリアルにこだわっています。今年、WBCで日本中が盛り上がりましたが、やはり人が集える場があって初めて人は感動します。人が集うリアルな場所は、これからも必要であることを改めて実感しました。お買い物でも食事でも、誰かと一緒にすることは楽しい。それを盛り上げる空間をつくっていくのがスペースの使命だと思います。

佐々木リアルの良さは、コロナ禍を経て、改めて痛感しているところです。モノを買うことも、その場に行って楽しみたいという欲求が爆発的に増えてくると、商業施設も復活してくるでしょう。また、ECが普及する中でも、今後はキーとなる店舗の重要度はより増してくると考えています。購入した商品を、各家庭に配達するのではなく、地域の店舗に届けてお客様に取りに来ていただく。そうすれば物流の効率も良くなって運送の問題も改善しますし、店舗でのついで買いにもつながると思います。
当社のVALUEに、「お客様と、同じ想いで共に創る。」とあるのですが、感動を生み出す空間にするために、お客様と一緒に考えていくことを非常に大切にしています。空間づくりというと、デザインや素材にこだわりがちなのですが、それだけでは良い空間はできません。感動につながる体験を売るために、どのような空間がベストか。そういう提案をしています。

提供する空間の環境負荷を低減し、サステナビリティの実現に貢献する

和田人々のサステナビリティへの関心は年々高まってきています。スペースがつくる空間も、エネルギー効率や資源、廃棄物に配慮して、環境への負荷を小さくしていかなければなりません。特に、スクラップ・アンド・ビルドが仕事ですから、壊すときの廃棄物を減らすことが重要です。スペースでは、この廃棄物削減に向けてリプロダクト推進室という部署を立ち上げましたね。

佐々木社内の事業提案制度から実現したプロジェクトです。私自身も昔から課題に感じていましたが、ビジネスとしては難しいテーマでした。しかし、サステナビリティの要請が高まってきたこのタイミングで、社員から提案が出てきたことは感慨深いです。

和田リプロダクトの「リ」は、単にリサイクルの「リ」でなく、最初から解体することを念頭に置いて設計する、リサイクル素材を使用する、お客様から提供された素材を生かすなど、設計の概念そのものを変えていくという意味があると聞きました。この考え方は今後とても重要になっていきます。スペースにおいて、社員が自由な発想からそれを提案し、経営層が評価し、事業化へ挑戦するという社内文化があることは本当にすばらしいことだと思います。
サステナビリティへの取り組みは投資家も厳しい目で評価していますので、本当の意味で責任を果たしていく企業だけが生き残る時代になります。スペースも、提供する空間を通じて社会課題の解決にしっかりと役割を果たしていかなければなりません。

常に楽しさを持って、笑顔で仕事ができる環境をつくる

佐々木リプロダクトのような提案が社員から出てくるように、皆、社会課題への意識は高いと思います。SDGsやESGなどへの世の中の関心が高まってきて、皆ようやく事業を通じた社会課題の解決に挑戦できる時代が来たのだと感じているのではないでしょうか。そうした社員を応援するための私の役割は、スペースのVISIONをしっかり伝えていくことです。私たちの仕事は、「明日が、笑顔になる空間を。」というSLOGANにもある通り、人々に笑顔になっていただくことです。そのため、社員も常々楽しさを持っていないといけない。眉間にしわを寄せていたら良い提案はできませんので、社員が笑顔で仕事ができる環境をつくることも私の役割です。

和田スペースのSLOGANには、空間に集った誰もが皆笑顔になってほしいという想いが込められていますね。笑顔を、さまざまな世代に、地域に、世界に広げていくというのがスペースの10年後の姿ですし、さらには、社会のサステナビリティの実現にも貢献して将来世代も笑顔にする、ということがスペースの使命です。
サステナビリティの時代は、その空間がどうやってつくられたかというプロセスも評価されます。空間を企画してからお客様に引き渡すまでを一貫して担当者が責任を持つスペースでは、そのプロセスに社員一人ひとりが心に持つVISIONやSLOGANのような価値観や道徳が反映されます。これがスペースのブランドであり強みであり、これからの10年にさらに生きてくると思います。

佐々木今日は、空間にできること、スペースにできることがまだまだあると夢がふくらむ時間でした。世の中に笑顔や希望を広げられるよう、社員一人ひとりが個性を持って活躍してもらい、これからも空間の可能性を追求していきたいです。

  • 本ページに記載の部署・役職は原則としてダイアログ実施時点のものです。