Sustainability Activities小樽を好きになる場所できました――「おやこの集いの場」

2026.03.18
空間づくりを通じた貢献
地域共生地域ブランディング公民連携教育支援

 

札幌市の北西、石狩湾を臨み、残りの三方を山に囲まれた「港と坂の街」小樽。
そこに全長約600メートルに跨って広がる、北海道最大規模の商業施設「ウイングベイ小樽」があります。
巨大な建物の4階に歩みを進めると、保健所やこども未来部など小樽市運営の“行政区画”が連なります。

その一角に広がる、子どもたちの明るい声と、たくさんの笑顔。
この場所は2025年12月にオープンした、小樽市地域子育て支援センター「おやこの集いの場」です。
小樽市が掲げる子育て支援施策の充実を目的に計画されたもので、当社はその内装設計と施工を担当し、株式会社フレーベル館とともに、遊具を設計・制作しました。

吹き上がる風の流れで遊ぶようす
滑り台「小樽の坂」

 

プロジェクトはこうして始まった

市内には同様の施設があるものの、その多くは平日限定であるほか、市内の公園は屋外のために天候の影響を受けやすいなど、自由に遊べる場所が不足しているそうです。
そうした中、小樽市より「誰もが何度でも気軽に訪れることができる、居心地の良い空間をつくりたい」との声を頂きました。

梶浦(右)と中野(左)

プロジェクト推進者の当社商環境研究所・梶浦ヒロヤと中野香菜は「市民と本気で向き合う小樽市の強い覚悟を感じた」と、当時を振り返ります。

その想いに応えるため、“地域とのつながり”を感じ、楽しみながらも“誰もが小樽を好きになる”を軸に、空間演出を考えました。

 

人と人、地域と人が、楽しみの中でつながる

「居心地の良さ」「遊びを学びに」「インクルーシブ」「小樽らしさ」の4つを軸に設計された今回の空間。
過ごし方に合わせて居場所が選べるよう、休んだり交流を深めるのに適した“くつろぎスペース”の周囲を「運動遊び」「ごっこあそび」「ハイハイ」「読書・工作・知育」などさまざまなコーナーが囲みます。「運動遊び」では平均台や滑り台を使って体を動かしたり、「読書・工作・知育」で積み木や、風の力を活用した装置に触れたりしながら、想像力や感性を育み、その中で子どもたちに自然な交流が生まれます。
さらに、それぞれに保護者が座れる場所を設けることで、安心して楽しめるよう工夫しました。

 

“3メートル”というこだわり

全てのエリアの設計で重視したのは “目が合うシーンづくり”。
人間工学における「会話のきっかけが生まれやすい距離=約3 メートル」という知見を空間設計に応用し、“3メートルの輪”が無意識に形成されるレイアウトを構築。
これらに、運動や木育、ごっこ遊びや読書などエリアごとの特色を持たせることで、誰もが楽しめつつ、初対面同士でも交流しやすい環境を実現しました。
そして、すべての子どもたちが一緒に遊べるよう、感覚や発達の違いに配慮した遊具を分散して配置しました。

エリアごとにさまざまな特色が

 

小樽らしさで満たされる空間

壁面に目を向けると、そこには“小樽らしさ”が広がります。
空間全体を一冊の絵本に見立て、小樽の街並みを感じさせる温かみのあるイラストが描かれています。柱にはそれに連動するカラフルな文字サインを配置し、また小樽市在住の絵本作家・こぐれけいすけさんが街の魅力を壁全体に描いた「あいうえおたる絵巻」がそこに更なる彩りを加えています。

絵巻で小樽らしさを演出

 

これから始まる物語

オープンから数カ月。
すべての子どもたちが自由に出入りできる全天候型の「おやこの集いの場」は、曜日を問わず賑わう新たな交流拠点として存在感を高めつつあります。
今回のプロジェクトを担当した小樽市の津川義信さんは、「自然と視線が合う仕掛けづくりなど、利用者の立場に立ったプランを実現できた」と話し、同じく増子康広さんは「子育て支援という言葉の通り、誰もが分け隔てなく遊び、学び、そして交流する空間ができた」と、プロジェクトを振り返ります。
また、梶浦は「ただ遊ぶための場所ではなく、人や地域がつながる場所として、たくさんの物語が生まれていってほしい」と展望を語ります。

施設の展望を語り合う、津川さん(中央)・増子さん(右)・梶浦(左)

 

私たちはこれからも、地域密着型の商空間プロデュース企業として、地域社会とのつながりを大切に、豊かな社会の実現に貢献してまいります。

(書き手・広報部 前田健斗)