Info全ての芸術は衝動から ―松尾貴史氏が語る「創作」の本質―

2026.06.04
  • ニュースリリース
創作論を語る松尾氏

 

心動かされ、笑顔になる場所には、いつも“表現の力”があります。
店舗や施設など多彩な空間づくりを通じて、豊かな社会の実現を目指す当社にとって、アートは身近で深い存在です。
ギャラリーの中央奥にはサルバドール・ダリ。左に視線を向けると加藤一二三氏や矢沢永吉氏。そして反対側にも、また別の“顔”。
これらはすべて、俳優・タレントの松尾貴史氏と、岸天智氏による親子展「うかうか」で展示されている“折り顔”作品です。

2人のアートが協奏する“親子展”(写真左は岸天智氏)

 

当社ANNEX館で、タグボートと共同で開催中の「アート解放区 人形町」の一環として展示されているもので、作品はいずれも一枚の紙を折り込んで制作された立体アート。人物の表情や個性を、紙の折りだけで表現しています。
展示を記念して行われたトークイベントでは、来場者が紙に書いた質問に松尾氏が即興で回答。“折り顔”誕生の背景から芸術論、AIまで、話題は多岐にわたりました。

 

衝動が生む芸術

衝動こそ芸術につながる・・・

 

折り顔の原点は、デザインを学んでいた学生時代にまで遡ります。
「身近に大きな紙がたくさんあって、衝動的に作ってみたのが始まりでした。正方形の紙を折ることで生まれる表情から、人それぞれの生き様を表現できたら面白いなと感じて、次第にのめり込んでいきました」。
“折り”を繰り返す必要があるため、作品のモチーフとなったことがある黒柳徹子氏からは、「私こんなに皺くちゃ???」とお叱りを受けたこともあるそうで、会場は笑いに包まれました。

 松尾氏は、芸術について次のように語ります。
「機能や目的を超えた、衝動から生まれる行為や表現すべてが芸術だと思います」。
さらに、「原始人が木を叩いて音を出したり、口笛を吹いたりしたことが、芸術の始まりだったのかもしれない」と続け、“役に立たないのに表現したくなること”こそ、芸術の根源だと強調しました。
怒りを伴う表現も、「行為自体が美しく見えないだけ。そこには芸術性が内包されている。『作りたい』『描きたい』『声に出したい』という衝動こそが、芸術につながる」と語りました。


「楽しむこと」が成長につながる

多様な顔が並ぶ「紙羅漢」

 

俳優、アート、落語など、多彩な表現活動を続けている松尾氏。
自身の“伸びしろ”について問われると、
「完成形に達したと思うものは一つもない。すべてに伸びしろがあると思います」と答えました。
だからこそ、仕事をジャンルで選ぶことはしないと語ります。
「対価を頂きながら芸を磨ける。続けていれば上達を感じられる。ただ、その前提として楽しむことが欠かせません」。
現在の目標は長編映画のメガホンを握ること。
過去に短編映画を手掛けた経験を踏まえ、作家・中島らも氏の未映像化作品について、「いつか映像化したい」と構想を語りました。


AI
では到達できない「面白さ」

次のお題は・・・

 

イベント終盤では、“AIと面白さ”に話題が発展。
「AIは要素の組み合わせはできるかもしれない。ただ、“面白がる”ことはできない。楽しめない存在は、本当の意味での面白さは表現できないと思っています」。
さらに、「人間だから失敗するし、そこからは “怪我の功名” が生まれる。失敗しなければ出てこない発想もある。AIがすべて計画してしまえば、そうした偶発性は失われてしまいますよね」と、人間特有の創造力について言及しました。


人にしか生み出せない価値

来廊者と交流するようす

 

人の感情から生まれる表現こそが芸術であり、その領域はAIには到達できない――。
今回のイベントは、創作の本質とは何かを改めて考えさせられる時間となりました。
松尾氏の言葉一つひとつが、私たちが日々向き合う空間づくりにも通じています。
「空間の可能性を追求する。」というMISSIONのもと、商空間の創造を通じて、豊かな社会の実現に貢献してまいります。

(書き手・広報部 前田健斗)

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