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地域発きらりと光るブランドの、
起業のつばさに

起業のつばさプロジェクト

クライアント:静鉄プロパティマネジメント 様

商業施設が、インキュベーション(※)に取り組んだらどうなるか。その発想から始まったのが、「起業のつばさプロジェクト」だ。新静岡セノバが新規出店を考える起業家のパートナーとして、ショップの出店から運営までの支援を行い、全国へと送り出す初の試み。「起業のつばさプロジェクト」から生まれた新店舗、チーズピゲ新静岡セノバ店の空間設計をスペースが担当した。
※インキュベーション:事業の創出や創業を支援するサービス・活動のこと。もともとは、卵をかえす「孵化」という意味を持つ。

街としてのオリジナリティを生む、
初めてのインキュベーション

佐藤 壽康 様
静鉄プロパティマネジメント株式会社
取締役 セノバ事業部長

「起業のつばさプロジェクト」の狙いは、次世代に活躍する静岡発ショップの発掘や育成、地域における起業文化のさらなる醸成だ。その根底にあったのは、「同質化」への危機感だったという。

佐藤:「日本中どこを見渡しても、我々のような商業施設や商店街に、同質化の流れがあるのを感じていました。地方都市は、街としてのオリジナリティがないと面白くない。静岡の地域において、新たに店舗を構えたいという夢のある起業家を応援する取り組みができたら、地域全体を盛り上げることにつながると考えました」

佐藤 壽康 様
静鉄プロパティマネジメント株式会社
取締役 セノバ事業部長

商業施設が主導して本格的にインキュベーションに取り組んだ事例は少ない。起業を考えている人に、どうこのプロジェクトを広めるかというところからのスタート。だが、プロジェクトの構想段階から手応えはあった。

佐藤:「地元メディアや、金融機関、起業支援をしている団体に声をかけてみました。話をしに行くと、そのほとんどが、それはいい試みだと、協力に応じてくれたんです」

地元静岡を、
静岡の経営者と盛り上げたい

候補者を募るにあたって、この地域の経営者であることを、条件にした。

佐藤:「今回のプロジェクトは、地域の皆さんと一緒に、地域を活性化するものでなければならない。だからこそ、地域の経営者や、この地域で起業をする方にフォーカスしました」

プロジェクトが本格的に始動したのは、2016年10月。約3ヶ月間の募集期間で約30件のエントリーが集まった。書類審査、プレゼンテーションを行い、出店者のひとつに選ばれたのが、クッキーチーズサンドの専門店、チーズピゲだった。2016年に焼津でオープンしたチーズピゲにとって、商業施設での出店は新静岡セノバが初めてとなる。

大畑 恵 様
静鉄プロパティマネジメント株式会社
セノバ事業部 運営課 係長

大畑:「チーズピゲさんは、路面店での販売経験はすでにありました。自分たちの商品を求めて、お店に来るお客様には接してきたけれど、不特定多数のお客様を相手に商売をしたことはない。商業施設に新規出店をする上で、必要なノウハウを提供するために、様々なサポートをしました」

大畑 恵 様
静鉄プロパティマネジメント株式会社
セノバ事業部 運営課 係長

静岡のマーケット概況や、事業計画の立て方など、金融機関や専門家に協力を仰ぎ、座学を行ったほか、現場を知るために、つながりのある全国の商業施設に声をかけ、期間限定出店を行う機会を作った。さらに、店舗の運営に踏み込んで、販売戦略やオペレーションの構築においても、新静岡セノバがアドバイスをし、開業まで伴走した。

大畑:「今回のプロジェクトに興味をもって視察に来た方に、『そこまでやるんですか?』と驚かれることもありました。でも、応募をしてくるのは、夢を持って、人生をかけている人。だからこそ、絶対に失敗できないし、私たちも生半可な気持ちではできない。出店者さんの熱に負けてしまったら失礼だと思ったんです」

経験よりも共感。出店者の想いに、
どれだけ共鳴できるか

長島 淳/名古屋第3本部

小泉 由羽/名古屋第2本部

具体的な店舗の設計を行うコンペにおいて、声がかかったのが、スペースだった。

長島:「実は、プロジェクトの構想段階から、ご相談はいただいていました。最初にお話を聞いた時、地域を盛り上げるというこのプロジェクトの使命に、強く共感しました。スペースとして、どう応えるかを念頭に置いて取り組んだのですが、頭を悩ませたのは人選の部分。セノバにとって、また地域にとっても非常に重要なプロジェクト。今までのコンペにはないプレッシャーがあります。経験豊富なベテラン陣のチームで臨むこともできました。けれども、インキュベーションだからこそ、出店者とどれだけ共鳴できるかを重視すべきだと考えて、あえて若手の小泉を主担当に選びました」

長島 淳/名古屋第3本部

ただ若手を担当にするだけでなく、同時に、ベテラン社員をサポートとして配置することで、より高いクオリティを目指したと長島は語る。

長島:「設計では岡井、推進・施工では松本という社員にサポートしてもらいました。ベテランが若手を補うというよりは、その人でしか浮かばない発想、行動にお互いが刺激を受けて、どんどん独自のものができあがった実感があります。それぞれが本気、本音で挑めばベテランと若手のギャップは障壁ではなく、返っていい方向に進むことが分かりました」

小泉:「オリエンテーションで、チーズピゲさんのお話を聞いた時のことを、はっきり覚えています。チーズピゲというお店を大きくしたい。でも、ただ有名にしたいのではない。みんなでお店を作り上げて、みんなで大きくしていきたいのだと。そのお話を聞いて、胸が熱くなったんです。彼女たちの夢を叶えるために、力になりたいと思いました」

小泉 由羽/名古屋第2本部

チーズピゲの世界観を実現するために、小泉がこだわったのは「自分が感じたときめきやワクワク感を表現すること」だった。

小泉:「オリエンテーションで私が感じたことを、そのまま店舗に訪れるお客様にも感じていただきたかったんです。ときめきやワクワク感を表現するのに、いちばん力を入れたのはディスプレイの部分です」

スペースが提案したのは、天井まで届く太い擬似柱。そこに埋め込まれたショーケースがひときわ目を引くデザインだ。

小泉:「ショーケースに関して、具体的なご要望をいただいていたわけではありません。ここに力を入れたのは、オリエンテーションでお聞きした『みんなでお店を大きくしていきたい』というチーズピゲさんの思いを、デザインにも反映したいと思ったから。私たちが提案してお店をお引渡しして終わりではなく、これからのチーズピゲを作っていくのは、スタッフの皆さん一人ひとり。だからこそ、お店づくりに参加できる部分として、ショーケースを大切にしたかったんです。クリスマスの時期やバレンタインの時期など、季節に合わせて思い思いにショーケースを飾ることで、スタッフの皆さんに楽しみながら、お店づくりに参加していただけたらと考えました」

また、チーズピゲ側からの具体的な要望を図面に落とし込む部分においても、スペースは妥協しなかった。

長島:「すでに1店舗、運営されていたこともあり、チーズピゲの世界観や、新店舗に求めるアイデアも、非常に明確でした。それぞれのアイデアを、どう一つの空間に落とし込んでいくか。そこも設計の腕が試された部分だったと思います」

明確なアイデアの一つとして、チーズピゲ側から要望があったのは、象徴的なグラフィックを床面に配置すること。だが、スペースはあえて、天井にそのグラフィックを配置した。

小泉:「床にグラフィックを置くと、大事な世界観の一部なのにもかかわらず、踏まれてしまうことになる。だから思い切って、天井に配置する案をご提案したんです。結果的に、その案が採用されて、あとでチーズピゲさんから、『お店に来た時、自然に目線を上げるから、それだけで気持ちが明るくなる』と、喜んでいただくことができました」

プロとして、一緒に悩み、
一緒に考え続ける

チーズピゲの想いを丁寧に汲み取ったスペースの提案は、満場一致で採用された。

大畑:「小泉さんがプレゼンの時に緊張しているのは、こちらにも伝わってきました(笑)。でも、チーズピゲさんにとっては、それが良かったんです。自分たちと同じような気持ちで、真剣に取り組んでくれていることが、まっすぐ伝わったと、あとでチーズピゲさんから、お聞きしました」

長島:「受注した後の設計段階でも、どうすればより良いものができるか、小泉も随分悩みながら取り組んでいました。運営されるチーズピゲさんも同じように、たくさん悩まれることがあったでしょう。我々はプロではあるけれど、出店者と一緒に悩んで、一緒に考えて、壁を乗り越えていく。これはこうあるべき、という答えを経験則に頼って出すのではなく、常に柔軟に最善策を考え続ける。その連続だったと思います」

佐藤:「その姿勢が、我々にとっても店舗にとっても、非常にありがたかったです。こういうものだ、と一方的に押し付けられてしまったら、出店者の熱も失せていたかもしれません。一緒になって、どうしたらいいか考えてくれるのがスペースさん。最初から最後まで、出店者に寄り添ってくださった、その気持ちや立ち位置が、まさにパートナーのような存在だと思いました」

長島:「私たち自身改めて、店舗づくりとはどうあるべきかを学ばせていただきました。出店者と想いを共有して、ゼロから一緒に店舗の歴史をつくっていく。今回このプロジェクトに関われたことは、非常に意義深かったと感じています」

大畑:「私たちも含めて、このプロジェクトに関わる全員が、『自分たちのお店』と思うほどの熱意がありました。その感覚がなければ、きっとここまでの成功はできなかったと思います」

未来にはばたくまで、応援は続く

2018年3月のオープン後、チーズピゲは瞬く間に、他のディベロッパーからも出店のオファーが舞い込む人気店となった。

佐藤:「スタートラインとしては、非常にいい出だしだったと思います。もちろん、ここで終わりじゃない。『起業のつばさプロジェクト』は、全国に、世界に、ブランドが広がる。そんなところまで応援するのがゴールだと思っています」

また、「起業のつばさプロジェクト」の成功事例を耳にして、多くの企業がセノバに視察に訪れている。

佐藤:「これからの地方の商業施設がやらなければならないことを、セノバが先んじてやってくれた、という言葉もいただきました。業界全体でこういった取り組みを行えば、日本中の地方都市が、地域ならではのきらりと光るブランドを世に送り出すことができると思う。そういった役割が、今我々のような商業施設に期待されていることだと思いますね」

Client’s Voice

空間だけでなく、スタッフのモチベーションを上げる
仕組みまでデザインしていただきました。

2店舗目の出店を考えていた時に「起業のつばさプロジェクト」の募集を知って、すぐに応募をしました。最初の店舗は自分たちの手作りだったので、プロに提案をしてもらったのは、今回が初めて。「スタッフみんなでお店を大きくしていきたい」という私たちの思いを汲み取って、想像以上の空間をプロデュースしていただきました。スペースさんの狙い通り、ショーケースを通じて、スタッフみんながお店づくりに積極的に参加してくれています。店舗に行くと、ショーケースの飾り方や、インスタにあげる写真について、毎回質問の嵐。自分たちが心からいいと思える空間で働けることが、スタッフみんなのモチベーションになっています。


〈Cheese Pige〉
柴田 絵美 様
株式会社Green Earth
マネージャー

Project Member

業務範囲:設計/施工